フィギュアスケートの見どころのひとつといえば、ジャンプがあります。
ジャンプを連続して行われる場合にはコンビネーションジャンプと言われます。このコンビネーションジャンプの2つ目に跳ぶジャンプの名前が今年(2018-2019シーズン)から少し変わっているのに気がついた方もいらっしゃるでしょう。
今までは聞かなかった「オイラー」という名前で表現されるようになりました。
オイラージャンプという表現が解説で使われるようになったわけや、その由来、オイラージャンプとはどういうジャンプなのか点数は何点なのかといったことについてお話しします。
オイラーがフィギュアスケート解説で使われるようになったわけ
コンビネーションジャンプの2つ目がすべてオイラージャンプというわけではありませんが、3連続ジャンプの2つ目にこのオイラーがよく使われます。
3連続ジャンプは特に注目される技だけに印象に残りますよね。
このオイラーは英語で表記すると【Euler】、プロトコルに書かれている要素記号では【Eu】と表されます。
18-19シーズンの新ルールでハーフループ(1Lo)の呼称がオイラーに変更されました。
三連続ジャンプのセカンドジャンプで使われるシングルループ(ハーフループ)のことを、元々欧米ではオイラーと呼ぶ人も多かったようです。
ハーフループorシングルループという表現は誤解を招くから
“ハーフ”というと半回転を連想しますが、実際には1回転します。
それがどうも違和感があり、ヨーロッパではハーフループとは言わなかったようで、今季からは「オイラー」に統一するようにルールとしても制定されました。
一回転するならシングルループではないのか?というと、シングルループとは着氷の足が違うのでこれも正確ではありませんでした。
スケート用語のオイラーの由来はどこから?
オイラーとはフィギュアスケートのペアの選手であったカール・オイラー(Kurt Euler)の名前にちなんで名付けられました。
今回、オイラー選手がいつ頃のどの国の選手だったのか調べてもよくわからず、どのような成績をおさめていたのかもわかりませんでした。
ワールドチャンピオンだという人もいたのですが、年表を見てもお名前を見つけられず、不明です。
また、ハーフループの発案者はペル・トーレン(PerThorén)とも言われていて、ヨーロッパでは、トーレンジャンプと呼ばれていたようです。
トーレンは1908年ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得したスウェーデンの男子フィギュアスケーターです。
(1908年のロンドンオリンピックは夏季オリンピックですが、フィギュアスケートも行われました。)
トーレンジャンプがオイラージャンプとなったいきさつははっきりわかりませんでしたが、アクセルやサルコウなどのように人名からという説は有力ですね。
オイラージャンプとは?点数は?
オイラージャンプとはループジャンプの変形です。
通常のループジャンプは右足で踏み切って右足で着氷しますが、オイラージャンプは1回転して逆足のインサイドエッジでランディング(右足で踏み切って左足で着氷)して、次のジャンプにつなげます。
つまり、次のジャンプを跳べるように足を変えるためのジャンプで、ジャンプとジャンプに挟まれているのがルールとなります。
単独でやるとジャンプとしての評価はされず、ステップとみなされます。
1Euの基礎点は何点?
正確にはシングルループではありませんが、点数はシングルループと同じく 1Eu = 0.50 となります。
オイラージャンプをするとどうなる?
オイラージャンプの跳び方は、右足のアウトサイドエッジで後ろ向きに滑り、トウをつかず跳びます。
右足で踏み切るジャンプは右足で着氷しますが、オイラージャンプは左足で着氷するので次にサルコウやフリップにつなげることができ、ジャンプの組み合わせが広がります。
コンビネーションジャンプとジャンプシークエンスとのちがいは?
ちょっと余談ですが、連続ジャンプとジャンプシークエンスのちがいも気になりました。
2018年シーズンからジャンプ・シークェンスに関する規定が一部変更となっています。
新ルールでは、連続する2本目のジャンプがアクセルのみとなりました。
羽生選手の四回転トウループ(4T)とトリプルアクセル(3A)の連続ジャンプは、コンビネーションジャンプではなく、ジャンプシークエンスとなります。
記号は 4T+3A+SEQ です。
トリプルアクセルのような高難度ジャンプをセカンドにもってきても、シークエンス扱いだと3Aの基礎点が80%になってしまうどころか、最初に跳ぶ4Tまで基礎点が80%になってしまうので普通は組み合わせない技なのですが、彼レベルだと自分との闘いというかフィギュアスケートを極めたいとか楽しみたいという感じなのでしょうか。
そして、オイラージャンプを2つ目に入れるのはジャンプシークエンスではなくて、コンビネーションジャンプということになるのですね。
オイラージャンプのまとめ
フィギュアスケートのルールは難しくて勉強中です。
毎年のようにルールは変わりますし、応援している羽生選手はルールブックを超えた演技をされるので混乱することが多いです。
今回わかったこととしては次の通りです。
- 3連続ジャンプの2つ目に使われるシングルループを変形したジャンプ(着氷する足が変わる)
- 以前は「シングルループ」と解説者がコールしていたが2018-2019年シーズンより呼び名が統一された
- 「ハーフループ」と言われていることもあったが、実際には1回転している
- 名前の由来はペア選手のカール・オイラーさん(詳細不明)
- オイラージャンプを2つ目にもってくることでサルコウやフリップにつなげることができる
シーズン中の解説でまた新しい情報がわかれば記事を修正したいと思います!
参考文献:James R. Hines,Historical Dictionary of Figure Skating(2011)
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