子育てをするママやパパに知っておいて欲しい言葉に「エルサゲート」というものがあります。
スマホ育児が「悪い」とか「仕方がない」という肯定・否定論争はひとまず置いておいて、まずはこの「エルサゲート」の恐ろしさだけは知っておくべきかと思います。
今回は、
- エルサゲートとは何か
- 子供向けYouTube動画にひそむ危険性
- YouTubeでエルサゲート動画を子どもに見せないための対策
について話題にしています。
エルサゲートとは
エルサゲート(elsagate)というキーワードをご存知でしょうか。
子どもたちが大好きなキャラクターが出てくる動画で、子供向けの楽しい娯楽作品を装っているものの、実は悪質な内容となっている動画のことをいいます。
「悪質な内容」とは、ストーリーがまったく子供向けでなく、暴力的であったり残酷なシーンがあったり、エログロであったりするものです。
眉をひそめるを通り越して目を覆いたくなるほど悪意に満ちたものもあり、子どもに悪影響を及ぼすことが容易に想像できます。
エルサゲートの言葉の由来
エルサはアナ雪(ディズニー映画「アナと雪の女王」)の登場人物「エルサ」のことです。
ゲートは事件・不祥事・スキャンダルを表すときに使われる接尾語です。アメリカの政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」をもじって使われ始めたといわれています。
2つの語を合わせた造語が「エルサゲート」となります。
「ゲート」はわかるが、なぜ「エルサ」が使われるのかと言うと、エルサのコスプレをした登場人物が異常な行動をとる動画やエルサに似せたキャラクターを使った残酷なシーンが続くアニメ動画が出回ったことによります。
たくさんの視聴数を集め、広告費収入を得るために当時大人気のエルサが使われたのです。
当然ながら元のエルサもアナ雪もまったく悪くありません。
ディズニーも不本意なのではないでしょうか。人気のプリンセスの名前が使われては悪いイメージを持たれかねないですからね。
(私はエルサの魔法で悪意のある動画を凍結させ、門から締め出してしまうイメージのセキュリティ機能か何かかと思っていましたが。)
子供向けYouTube動画にひそむ危険性
「くだらない動画は山ほどある、自分で情報は取捨選択していくのがネットの世界だ」と思われますか?
しかしその判断が身につく前の無防備な子供をターゲットにしているところが本当に悪質だと思います。
エルサゲートはいつから問題になったのか
こうした有害な動画は外国では2016年ごろから登場し、欧米では2017年末から問題視され始めていました。
Googleがエルサゲート対策に動画削除に乗り出したのも2017年6月からで、日本でも2017年の年末くらいから新聞やテレビでも取り上げられるなどして騒がれるようになりました。
エルサゲートの動画に使われるのは、アナ雪のエルサだけではありません。
スパイダーマン、ミニオン、ミッキーマウス、日本のアニメのドラえもんやアンパンマンなど
キャラクターグッズが出ているような人気のものが次々とエルサゲート動画に使われています。
子どもに人気のキャラクターが使われるワケ
大人であれば、再生されるうちにおかしな動画だと気づいて通報したり、別の動画に切り替えることもできますが、子どもは「悪意のある動画」であるとは思いません。
子どもの年齢にもよりますが、「悪い」「怖い」というのはわかっても、子どもを利用して金儲けをしたり、子どもを傷つけて喜んだりするために作られたとまでは考えないのです。
子どもは「悪い」「怖い」と思っても、刺激的な強烈なシーンゆえに最後まで見入ってしまうこともしばしばあります。
恐ろしいことに、中にはそのエルサゲート動画を大笑いしながら喜んで見てしまう子もいます。
子どものそうした特性を悪用して、子供向け動画を装って再生数を稼ごうとしているのです。
動画の始めのほうはよくある子供向け動画の内容であったりするので、最初だけチェックして「これなら大丈夫」と大人が思っても、途中から残酷シーンになっていくものもあります。
最後まで再生内容を確認しないと大人も気づけないことがあるのです。
履歴が残ると次々とエルサゲート動画が「おすすめ動画」として再生される
個人の趣味をデータとして蓄積し、次の利用を促す「おすすめ」機能はショッピングサイト以外にもあり、YouTubeにも同様の機能があります。
親が「公式アカウントの動画」を見せていても、目を離していると子どもが勝手に同じキャラクターの出ているサムネイル(動画を紹介するための画像)をタップしてエルサゲート動画が始まってしまうのです。
また動画サイトには自動再生機能もあり、関連動画が次々に再生されます。
エルサゲート動画が子どもに与える悪影響
問題のある動画の悪質度はさまざまで「ちょっとお下品」なおふざけが行き過ぎたようなレベルから、一度みてしまうと子供がトラウマ(心的外傷)となり、精神的ダメージが後々までひびきそうなレベルのものまであります。
低年齢の子どもほど、こういった影響は受けやすいので動画視聴の際、親の管理は必須となっています。
小さい子どもは仮想と現実の区別がなかなかつかないのでとても危険です。
(内容に問題のない童話絵本の読み聞かせであっても、さいごに「これでおしまい」や「めでたしめでたし」といった締めの言葉を使うことが重要で、現実の世界と空想の世界との区別をつけさせる必要があると言われています。)
精神的ダメージばかりではなく、子どもの発育にも悪影響を与えると指摘されています。
エルサゲート動画を見てしまう状況というのは、ある程度の時間動画を見せっぱなしという環境ですから、それが続けば、視力や姿勢が悪くなったり、脳機能が低下したり、性格、思考にゆがみが生じたりする恐れがあります。
本当に恐ろしいです。
YouTubeでエルサゲート動画を子どもに見せないための対策
Googleアカウントは日本では13歳以上でないとアカウントを作ることができないという年齢制限があります。
ですので、13歳未満の使用に関しては保護者が責任をもって対策をとる必要があります。
具体的にはどのような対策をとればいいのか?といったことをご紹介していきます。
子どもにスマホやタブレットを与えっぱなしにしない
タップひとつで操作できる手軽さですから、子どもはあっという間に操作方法を覚えてしまいます。
子ども一人で操作させないようにする必要があります。
親も一緒に視聴する
子供向け動画を一緒に観るのは苦痛ですか?
そんな時間はありませんか?
しかしインターネットの脅威から子どもを守ることができるのはあなたしかいません。
YouTubeのセーフモードを設定する
YouTubeにおけるペアレンタルコントロール(保護者による制限)を設定する機能があります。
「設定」から「制限付きモードフィルタ」を「ON」にしておきましょう。
これは使用するブラウザごとに設定する必要があります。
YouTubeの自動再生機能を「OFF」にする
この設定だけでも延々と有害動画を視聴続けることを回避できます。
知らずに見てしまったら「検索履歴」「視聴履歴」を削除
おすすめ動画にUPされないようにする対策です。
「YouTube Kids」を利用する
YouTube Kidsとは子どもに安全な動画だけを届けるためのアプリです。
ただし、YouTube Kidsを使っても完璧には防ぎきれず、子どもがエルサゲート動画を目にしてしまう可能性はゼロではありません。
エルサゲートとは?その危険性と対策についてのおわりに
Googleの取り締まりが強化されたとはいえ、悪質動画はどんどん新しいものが作られおり、投稿され続け、いたちごっことなっています。
親がネイティブでない家庭の英語学習にはスマホやタブレットでの動画視聴は有効な学習ツールであったりします。
わが家でもチャンツを使った動画や海外の子供向けTV番組の動画などを子どもに見せたりしていました。
ガチガチの英語教材や教育アプリだけだとどうしても飽きられてしまうので、楽しみながら英語に親しんでもらうのが良さそうと考えたんですよね。
また、小学生からのプログラミング授業が必修化されるとなると子供がタブレットを一人で操作するのももはや当たり前ですよね。
息子(小1)は公立小学校に通っていますが、iPadの操作方法の授業などもあります。更に言えば、幼稚園のときからパソコンの授業もありました。
こんな時代ですので、親としては有害なコンテンツから子どもを守る手段を日々勉強していくことが必要ですね。
参考文献:公益財団法人第38回シンポジウム「触れ合い育児の大切さ」…スマホ育児の弊害と対応 PDF
とても長い文章ですが、38頁にエルサゲートの話題が出ています。