帯状疱疹という病気は単なる皮膚疾患ではありません。早めに受診して一時間でも早く治療を開始して欲しい病気なのです。
こちらの記事にたどり着かれた方が(これって帯状疱疹なのかな~)とご自身や身近な人のことを思って来られたのであれば共通する点を発見されたのなら早めに受診して欲しいという思いと、もし既に受診はされていて、長引く痛みで(いったいいつになったら痛みがひいて以前のような日常に戻れるのだろう)と不安になっている段階であれば、こんな風な経過で治っていくのかとほんの少しでも安堵されればという思いで体験談を書いています。
尚こちらの記事は体験談の後編となっており、前半には
発症前から症状が表れるまでの様子
帯状疱疹で受診する科やタイミング
帯状疱疹の痛みの程度とピークはいつなのか
という内容の記事があります。
>>帯状疱疹になったときの体験談(前編)発症前の様子と受診した科
帯状疱疹でつらかった二大症状(痛みと水泡)がどのくらいの期間続いたのか
帯状疱疹にかかると、なんといっても最大の辛さが痛みです。
体験談の前編にも書きましたが、痛み止めを飲んでも効いているのかどうかわからないくらい、起きている間も寝ている間も続きました。
じーっと寝ていても痛いのですが、ほんのちょっとの刺激や温度の変化でもピリピリピリピリと激しく痛みます。
おかしな言い方ですが、せっかく病気になったのだからこの機会にたっぷり眠っておこうと日頃の睡眠不足の解消をしたかったのですが、痛みで熟睡できず、痛さに耐えるために身体に力が入り続けて横になっていても疲れがたまっていくような感覚でした。
痛みと共に気持ちをどん底に落ち込ませる水泡
私の場合は顔に疱疹が出たので見た目も悲惨極まりないことになりました。
血は吹き出しているわ、それがただれてズルズルでブツブツ、自分でも気持ち悪くて気が滅入ることこの上なかったです。
12月初旬に発症したのですが、年末年始の予定はすべてキャンセルです。
年末に帰省するタイミングの友人にも会わず、年に1回の学生時代からの仲間との忘年会も欠席、子どものクリスマス発表会もお正月も全ての行事に背を向けて過ごしました。
またそういった不参加への連絡のやり取りも気分が滅入る原因のひとつでした。
ひとりで耐えていたほうが気が楽なのに「自分は病気です」アピールをしているようですし、メールを打つといった作業自体も痛みに耐えながらなのできつかったのです。
身勝手な思いなのですが、日頃いろいろと人より頑張って無理してでもやってきたことが報われるどころかそれが原因となって病気になってしまったということにも理不尽さを感じました。
身体の不調でどうも考え方まで卑屈になっていることが自覚でき、自己嫌悪も続きました。
かといってなかなか気晴らしもできず、元気を出すきっかけが見つからない闘病生活はそれは苦しいものでした。
帯状疱疹の経過の様子
帯状疱疹の経過は、赤い斑点・発疹(ほっしん)1週間→水ぶくれ→ただれ→かさぶた→傷跡→治癒という流れです。
頭痛(前駆痛)が続いたのが4日間ほどで、疱疹が出て水泡が広がり、強い痛みが3週間ほど続きました。それから少しずつかさぶたになっていくに従って痛みがとれていきました。1カ月過ぎた頃から日常生活が戻ったという感じです。聴力も元に戻りました。
皮膚の症状も2カ月くらいですっかり元に戻りました。
私の場合は痛みはある期間は1か月くらいでしたが、高齢で発症した人の中には帯状疱疹が治ったあとも痛みだけが残ってしまう帯状疱疹後神経痛に悩まされる方がいます。
帯状疱疹後神経痛は治癒できない病気です。
痛みと闘っている間も(もし後遺症が残ったらどうしよう)という不安もずっと続いていました。
痛みの緩和に役立ったのは何だったのか
帯状疱疹で痛みが増すのは冷えたときでした。かかったのは12月で、寒い時期だったこともあり外に出ると冷たい風に傷がされされます。
もうこれは拷問かと思うくらいつらかったです。
反対に温めることが痛みの緩和に役立ちました。
中でも入浴の時間が一番で、湯舟につかっている間は痛みを忘れ、リラックスできました。(お風呂からあがるとまた痛みだすのですが)
また首から顔にかけて疱疹が出たのですが、首にリカバリーウエアと呼ばれる生地のネックウォーマーをつけると安心できました。
私が購入したのはVENEXというブランドでしたが、いろんなメーカーから類似のものが出ています。(機能の違いはあります。)
風よけにもなりましたし、着け心地も自分には合っていました。本当は全身頭から足先までこの布を被っていたいと思ったくらいでしたが、私にとっては高価なものだったのでネックウォーマーだけで我慢しました。
気に入ったので後日、手足がこわばっている高齢の母親にひざ掛けをプレゼントしました。
あとはアロマテラピーも心地良く感じました。
香りは家にあった精油のラベンダー、ベンゾインでした。
どちらもリラックス効果の高い精油で、特にラベンダーは神経痛に効果があります。
家族や周囲ににうつさない対策はどのように行ったのか
帯状疱疹は健康な大人にはほとんどうつらない病気です。
症状が出ていた時、予約していた歯の健診をキャンセルしようと連絡したときも「問題ありませんからいらしてください」と言われました。
自分の子どもは幼稚園の年中さんで、すでに水ぼうそうの予防接種は2回受けていましたから、うつることはほとんどないと言われました。
自分の家族にはうつす心配はあまりなかったのですが、水疱がまだ乾いていない時期は、シャワーのみにし、お風呂に入れるようになった後も最後にはいるようにしていました。
乾いていない患部はガーゼで覆っていました。
タオルなどは共用はしませんでしたが、洗濯は家族のものと一緒にしていました。
帯状疱疹のときに幼稚園の送迎はできる?
ただ、幼稚園の送迎はやめ、子どもは早朝預かり、延長預かりを目一杯申請し、夫にも仕事を調整してもらって代ってもらいました。
幼稚園に送迎に来る人の中には妊婦さんや、赤ちゃん連れの人もいるからです。
病院からは空気感染はしないから大丈夫だとは言われていたのですが、見た目も酷い状態で園に行くのは不信や不安を持たれてしまいそうですし、園の中には怖がる子もいそうだと思ったからです。
また、送迎には自転車を利用するのですが、痛み止めの副作用でふらつきがでると危険だからという理由もありました。
まとめ
帯状疱疹は一度かかると終生免疫がつきます。(5%以下の確立で2回発症することもありますが、免疫はついているため軽症となります。)
周囲の人からは皮膚に表れている症状を見て、その患部が痛いのか、たいしたことないと思われたりします。確かにその痛みもありますが、神経にダメージを受けた痛みは見た目よりずっとつらいのです。
また、目が見えなくなったらどうしよう、耳が聞こえなくなったらどうしよう、痛みがずっと続いたらどうしようと次々と不安に襲われます。皮膚科に眼科、耳鼻咽喉科と痛みをこらえて病院のはしごをすることも大変でした。
中には入院するほど重篤な症状になってしまう方もいるようです。私の様に子育て中の主婦で発症すると家事が一切回らなくなり家庭は大混乱になります。連日、掃除の行き届かない部屋でファストフードの夕食を食べているわが子を見るのもつらい日々でした。
しかし、休養をとって自分の免疫力をあげていくことでしか治していく方法はありません。高価な抗ウイルス薬でもウイルスを殺す程強力ではなく、増殖を抑える程度です。ですから、まずは身体を休めて、気分を紛らわす方法を見つけてやり過ごして行くことが大事です。
おつらいでしょうがゆっくりなさってくださいね。お大事に。
参考文献
長沼芳和.『帯状疱疹に克つ』.第一刷.東京,講談社,2006年,p188.