この記事では「夙川でお花見をしたいけど、どこからスタートしてどこを歩けばいいのかわからない」というあなたに贈ります。
桜を楽しむと同時に西宮のこの地に縁のある文学やアニメのお話しをしながら、途中一息つけるおしゃれなカフェでお茶をしたりできるコースです。公園や磯での遊び、美術館や図書館で教会などの周辺施設も紹介します。
もちろん実際にはあなたの大事な人、家族でお出かけくださいね。
では、夙川おすすめコースへ出かけましょう。
尚、夙川河川敷緑地(夙川公園)の基本情報は別の記事に詳しくまとめています。
>>夙川お花見のアクセス方法やおすすめ弁当のお店とさくら祭りの情報
コースは阪急「夙川駅」を起点に北側と南側で分けていますが、両方のコースを続けて歩くのもおすすめです。両方だと3時間くらいかかります。
夙川のお花見コース北側(上流)のポイント
苦楽園口駅を出発し、上流のほうまで行ってから折り返して夙川駅までのコースです。
苦楽園口のある上流の方が下流側より桜が多く美しいと評判です。桜が本当に美しく、川面に桜の枝が幾重にもせりだし、広い川床に遊ぶ人々の笑い声が弾み、この世の春を彷彿とさせる風景に出会えるコースです。
夙川はお花見スポットとして、兵庫県内で1位、全国で13位の人気の高いスポットです。
でも日本のどこにも「夙川」という地名はないのです。あるのは「夙川」という河川です。大阪の梅田からも神戸の三宮からもアクセスが良く、便利なところに位置しながら、どこかのんびりとした雰囲気と爽やかな空気がただよう街並みで、単なる都会のベッドタウンという位置づけでは決してないという印象です。
苦楽園口駅(阪急甲陽園線)からスタート
駅周辺には普賢象(ふげんぞう)という八重桜が植えられていますよ。
苦楽園口橋
駅前すぐにある橋で、甲山が真正面に見えます。
まずは上流(北)に向かって歩きます。
北夙川橋
ここの橋の上からが写真撮影のベストスポットです。
阪急マルーン色の電車と夙川の桜の組み合わせは彩もよく青空に映え、フォトジェニックな画になります。
橋を渡って更に北上しましょう。
日本人初となるノーベル賞受賞者である物理学者・湯川秀樹(1907-1981)は“苦楽園口駅から自宅までの帰り道を、のちに『中間子理論』に倒る思案をしながら歩いた”と伝わる道です。同じ道を歩けばなにかの着想が芽生えるかもしれませんね。
休憩できる場所が比較的多い場所でもあります。
銀水橋
ここまで駅から徒歩約20分。
ヒットアニメ「涼宮ハルヒシリーズ」に登場する橋です。「聖地巡礼」に訪れるファンも多数います。
お花見時期の夙川公園は想像を絶する混雑となりますが、銀水橋の辺りまで行くとすいているかもしれません。
銀水橋からユーターンしましょう。
ところで、苦楽園から阪急神戸線夙川までは川に沿って三通りの桜観賞散歩道があります。
一つは川の土手で(一番高い)二番目が土手下の遊歩道(メインの道)で最後が一番下になる川面に沿って犬走りのような道です。
この道は所々飛び石で川を横断できます。水面から桜を下から眺められます。川に架かる橋からは俯瞰して両岸の桜並木を眺められます。
意外に知られていないのですが梅も美しいです。
水車
「灘の生一本」で有名な西宮の灘の酒を作る際に使用された水車です。
大井手橋
この辺りは道幅が狭く、歩きにくいかも知れません。
こほろぎ橋
渡ってみたくなる情緒ある橋です。
夙川駅(阪急電鉄神戸線)
田辺聖子の『女の日時計』には“桜の花と樹々の緑が市松模様に町を染めあげてくる春。”という記述や夙川駅でのシーンが書かれています。
また、井上靖『猟銃』でも登場する駅です。
カトリック夙川教会
阪急夙川駅から西へ約5分のところにあります。遠藤周作が12歳の時に洗礼を受けた教会で遠藤文学の原点とも言われています。教会内でいろんな悪戯をしたことで有名です。
フランスの聖堂をモデルにして建てられ、尖塔が美しいカトリック夙川教会は見学することも可能です。
公開:10:00~16:00 日曜13:00~16:00
お帰りは夙川駅からです。駅の近くのカフェで一休みしたり、まだまだ元気のある人は南下してもいいですよ。
夙川のお花見コース南側(下流)のポイント
一般的に桜が美しいのは上流方面と言われています。そのため人気が高く見頃の週末は大変混みあいます。夙川駅は臨時切符売り場が出るほどの混雑ぶりです。
こちらの南側のコースですと割合人も少なく、実に平和な風景の中ゆっくりできる穴場のコースだと思います。
夙川駅、もしくはさくら夙川駅から出発し、香露園浜まで南下するコースです。スタートは交通の利用に便利な方をお選びくださいね。
夙川駅(阪急電鉄神戸線)
夙川駅北口からはちょっと街中を歩かねばいけないので南口のほうがお勧めです。桜のトンネルが素敵ですが、幅がかなり狭い所(特に駅近く)あるので土日は注意してください。
南下するとJR線が見えます。線路の下も通ることが出来ます。
さくら夙川駅(JR東海道線)
駅から東へ約10分、線路下にあるマンボウトンネルは谷崎潤一郎の「細雪」に登場します。
作品の中で谷崎は「人が辛うじて立って歩けるくらいな隧道」と描写している通りの小さなトンネルです。ここを通りぬけたところの一本松も「細雪」に描かれています。
香櫨園駅(阪神電鉄本線)
宮本輝(1947-)の小説『錦繍』文中、阪神香櫨園駅近くの喫茶店が登場します。また青春小説『青が散る』でも阪神香櫨園駅が登場します。
国道43号線は下にトンネルがあり、くぐるとすぐに渡れます。
夙川オアシスロードを散策しながら海まででるのがおすすめです。その間にある見どころや周辺施設をご案内しますね。
帰りはまた駅まで戻ってくることになるので、帰りに立ち寄ることもできます。
公益財団法人 西宮市大谷記念美術館
四季折々の草花が美しい日本庭園のある美術館で、絵本原画展を行っています。
所在地 :〒662-0952 兵庫県西宮市中浜町4番38号
TEL 0798-33-0164 / FAX 0798-33-1699
交通アクセス:「香櫨園」より南西へ徒歩6分。阪神高速道路下の狭い道をくぐり、和菓子屋の横を曲がり、住宅街の道を一直線に10分ほど歩いて美術館にたどり着きます。
開館時間 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:水曜日(ただし、祝日の場合は開館し、翌日休館)
駐車場(無料)15台分あり。※なるべく公共交通機関をご利用ください
コインロッカー(リターン式)は館内に設置しています。(使用時100円硬貨が必要。使用後戻ります。)
貸出ベビーカー(無料、館内専用)トイレ、おむつ交換台、授乳室もありますので、小さな子どもを連れられているときにも利用しやすいですよ。
新翠橋(しんみどりばし)
新翠橋と川添橋の間には遊具のある公園があります。
滑り台、ブランコ、シーソー、砂場など。
中央図書館 西宮市立図書館
香櫨園駅から南へ徒歩6分のところ、西宮市教育文化センター内にあります。
「涼宮ハルヒシリーズ」に登場する図書館です。
翠橋
重厚感のある立派な橋です。
葭原橋(あしはらばし)
桜が植えられているのは葦原橋(河口の少し手前)までとなります。この橋を渡れるのは、人とペットだけです。
村上春樹の作品『ランゲルハンス島の午後』のモデルとなっている橋として有名です。作品の中では“趣のある古い石の橋”と描写されています。
村上春樹が中学生の時、夙川の東側に住んでいたのですが学校は西側にありましたので何度もこの橋を渡ったことになりますね。
浜夙川橋
もっとも南にある橋で、北を向くと、甲山がいい感じに見えます。南は御前浜公園(御前浜・香櫨園浜)です。
近くには西宮回生病院があります。
村上春樹『ノルウェイの森』の原型である短編には回生病院らしき病院が登場します。
御前浜公園(香露園浜)
阪神香櫨園駅から徒歩約20分で海に出ます。(途中の寄り道なしとして)
駐車場情報:御前先駐車場 84台 500円/日
駐車場の入庫時間は午前7時から夜8時です。(出庫は24時間可能です。)
磯遊びができ、大人も子どもも砂浜でのんびり過ごせます。カニや貝を見つけて遊ぶのも楽しいですよ。
また、夙川の川沿いでは禁止されていますが、御前浜ではバーベキューも可能です。(器材や食材は各自持ち込み、ゴミ持ち帰りです。)
野坂昭如の『火垂るの墓』で清太と節子が水浴びをしていた砂浜は香櫨園浜でした。
お母さんが二人に言う「カルピスも冷えてるよ~。」、甘い思い出として印象に残るシーンでしたよね。
さて、この御前浜の名前の由来は平安時代にまでさかのぼるそうで、現在は鳥獣保護区に指定されています。
また、公園東側にある国の指定文化財である西宮砲台も見所のひとつです。
西宮砲台
幕末(1866年)の頃、黒船襲来に備えて、江戸幕府の指示により勝海舟の建議を取り入れて造られた砲台です。高さ12m、直径17mとかなりの大きさです。今は中に入ることはできません。
2017年4月に新しくなった公衆トイレもあります。(公園の東側、御前浜駐車場隣接)
お帰りはまた夙川沿いを駅まで戻ることになります。
夙川のお花見での飲食情報
散策に疲れたらどこかのお店で休みたいですよね。夙川周辺には素敵なショップやカフェがいっぱいです。
気になるところにふらりと立ち寄るのもいいですよ。
私からも何店かおすすめのところを紹介しておきます。近くを通りかかったらのぞいてみてください。
かき氷やたい焼き、ほうじ茶はここ数年ずっとブームが続いています。もちろん夙川にあるカフェでも楽しめるところがありますよ。
茶家(ちゃいえ)
西宮市松風町8-21
電話番号:0798-74-9444
阪急甲陽園線 苦楽園口駅 徒歩12分
営業時間;11:00〜19:00
月曜日定休
名物たいやき 各 150円 プラス30円でおもち入りに。
営業時間:平日12:00~17:00 土日12:00~18:00
定休日:月曜日(不定休あり)
かき氷専門店 夙川桜庵(しゅくがわさくらあん)
兵庫県西宮市相生町6-1
電話番号:0798-67-2929
阪急神戸線夙川駅 徒歩1分(北出口すぐ)
営業時間:12:00 – 19:00(L.O)
定休日:月曜日
シロップは全てこだわりの自家製、純度の高い氷を使用しているのでふわふわ新感覚のかき氷を味わえます。
また同じ建物にある姉妹店、「トリニティ」の店内でいただくこともできます。
五感で楽しむ イタリアン&カフェ トリニティ
兵庫県西宮市相生町6-1 2・3F
電話番号:050-3466-0515
阪急神戸線 夙川駅 徒歩1分
JR さくら夙川駅 徒歩10分
営業時間
カフェ 11:00~22:00(L.O.21:00)
ランチ 11:00~15:00(L.O.15:00)
ディナー 17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日:月曜日
※月曜日が祝日の場合、振替えで火曜日がお休みとなります。
※お子様メニューはランチのみとなります
ノイカフェ苦楽園店(neu.cafe)
夙川、苦楽園にあるノイカフェはゆったり広々のソファカフェです。
人気のランチプレートからパティシエの作るスイーツまで
お子様連れも歓迎の使い勝手の良いカフェで西宮の皆様に愛されるカフェ
兵庫県西宮市 樋の池町9丁目 12
電話番号: 0798-70-26660
ランチタイム 11:00〜14:30
ケーキタイム 14:30〜18:00
ディナータイム 18:00〜23:30分(金・土は24:00まで)Lo23時
徒歩での行き方:
阪急苦楽園口駅から苦楽園口通りを西へ、北夙川通りを左へ。
苦楽園筋(右手にペットの美容室がある角です)を右に曲がり、50m先右手、2階です。(駅から約3分)
さいごに
私は子どもの習い事で西宮に通っていた時期があり、車でよく夙川の辺りに来ていたのですが、素朴でありながらも洗練されたものを感じていました。
この新鮮な中にも穏やかな雰囲気はなんなのかと感じていました。山や川、海が近く、自然豊かでありながらも都会的な人々が暮らす街です。夙川は日本の文化(文学やアニメ)に縁のあるところが多く、そうした環境が創作に良い影響を与えてきたのではないかと思います。
実に風光明媚な土地で桜の美しさに目を奪われてしまいがちですが、文学作品ゆかりの場所を訪ねてみるのも夙川でのお花見散策の楽しみ方の1つです。
夙川の桜の種類、交通アクセス、おすすめのお弁当屋さんやパン屋さん、西宮さくら祭についての情報は以下の記事で参考にしてくださいね。
>>夙川お花見のアクセス方法やおすすめ弁当のお店とさくら祭りの情報
『火垂るの墓』のキャッチコピーは糸井重里さんの「4歳と14歳で、生きようと思った。」でした。
今でも名コピーとして知られています。お花見が終わったらジブリの裏側、コピーの世界も覗いてみませんか。
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2018年4月7日(土)~7月1日(日)で開催されます。【終了しました】